
長男の不登校から市民立小中一貫校を選択するまでの記録です。その途中で、シングルマザーになったり、自分でスクールを運営した期間もありました。教育移住、離婚、そして子どもたちの学校問題がひと段落するまでの4年の記録を書いていきます。
電車通学の練習
市民立小中一貫校への電車通学を決めた我が家。長男小3、次男は年長の2月のことでした。
ツクルスクールへの見学時、電車通学の子どもたちの様子を目の当たりにしました。
我が子たちもこんなたくましく生き生きと育っていくといいなと思ったし、息子たちも電車通学をしたいと望んでいる。
であれば私は送り出すのみ。・・・なんですが、まだまだ小さな子どもたち。「送り出す覚悟」はなかなかのハードルでした。
もともと電車が好きな長男は、1回一緒に往復してみて、自信満々で「もういける!」と、あっという間に乗り換えなどを覚えました。
「もう次は自分たちだけで行くよ」というので、私は後ろから見守りスタイルでこっそりついていきました。
珍道中を見守りながら送り出す覚悟をする私
こっそり見守り中、案の定ハラハラがたくさん。
もうすぐ下車駅につく直前にトイレに入っていった息子たち。そろそろ着く頃になってもトイレからでてこない!
→ギリギリで出てきた降りた!
改札付近で切符を取り出す時、もう一枚の切符がヒラリと落ちる
→歩き出す直前で気づいて拾った!
乗り換えたら反対方向!
→私も気づかずに一緒に間違う。笑 次の駅で降りて反対方向に乗り換える。
ヒヤヒヤハラハラしながらも、スクールの最寄駅につきました。
駅からスクール会場まではバス。私の見守りはここまで。本当に息子たちだけでスクールへのバスに乗っていったのでした。
生きる力を信じること
息子たちをこっそり見守ってみて思ったことは、子どもたちは想像以上にひょうひょうとしていて、あわあわしているのは私だということ。
社会という大きな波に、飲み込まれてしまわないか、心配で心配で、もしひょいっと誘拐されても誰も気づかないんじゃないか?とか、寝過ごしてどっかまでいってしまったら大丈夫だろうかとか
心配の種を見つけては手放せないのは親の方なのです。
子どもたちの生きる力を育みたいなら、子どもたちが生きる力をまず信じることから。その覚悟を持つことがまず必要なのだと、いたいほど感じました。
親から離れるからこその経験
実際に電車通学をはじめた2人。最寄り駅まで送るたびに、今日も無事で帰ってきてねと背中に願う私。
電車通学は良くも悪くも経験の宝庫です。
混雑する駅で、先頭に並んでも大人の波に身動きが取れず、何本も電車を見送って、電車に乗れない!と電話がかかってきたことがありました。
私は話を聞くことしかできません。もどかしい。近くの駅員さんに相談してみたら?アドバイス。すると、駅員さんが先導してくれてなんとか電車に乗れたとあとから連絡がきました。
コロナ禍でマスクを忘れてしまった長男に、1枚あげるよと、声をかけてくれた優しいおばあちゃん。
寝過ごしてしまった息子を見守って声をかけてくれた駅員さん。
親が隣にいたら経験しないだろうことを日々経験してきます。
自分たちで助けを求める、そして助けてくれる人がいる。社会を信頼して生きていくことを体感して帰ってくる息子たちは、あっという間に想像以上に、たくましくなっていきました。
家出と間違われながらも社会が見守ってくれる
「駅員さんかおまわりさんか、わかんないんだけど心配していて、かっかと話したいって言ってる」
長男がひとりで通学した日、ホームから電話がかかってきた日がありました。
電車通学をしていると「どこにいくの?」と声をかけられることは多いようで、「オルタナティブスクールという学校に通っているんです」と自分で説明できるようになっていたものの、それでも心配したおまわりさんが直接大人と話したいといって電話してきたのでした。
「小さな子がひとりで、しかも草履でいるもんで心配になって。」と電話の向こうのおまわりさん。確かに息子、冬なのに裸足にボロボロの草履。笑
私からも事情を話し、スクールの名前や代表者の方の名前も伝え理解してもらえました。
そんなことを重ねていると、使用駅でもなんとなく「電車通学してるあの子」ということを認識してもらえるようになり、窓口で「今日も気をつけてね!」と声をかけてもらえたりするようになっていきました。
怖い経験もあります
逆に突然、知らないおじさんに頭を叩かれるという被害にあったこともある長男。怪我などはなく無事だったのですが、怖い思いも経験しました。
その時は、近くにいたお兄さんに助けを求めたそうで「降りる駅で一緒に駅員さんのところに行こう」と寄り添ってくれたそう。
それ以降、できるだけこわい思いをしないように、ホームで待っている時は駅員さんの近くにいたり、車掌さんが乗っている車両に乗るようになったりしました。
そんなことがあっても、電車通学をやめたいということはなかった長男。好きってすごいなと感心します。
社会ではいろんなことがある。でも助けてくれる人もいる。そんな経験の中で生きる力を育んでいる。不登校問題が始まった頃のしおれた長男がイキイキできる道と環境を見つけられて本当によかった。
一方次男は・・・
電車通学をはじめてたくましく成長しはじめた子どもたち。次男も最初は楽しく通った1学期でしたが、夏休みが終わる頃、「ちょっといきたくないかも」と言い出しました。
⑰に続く。